医療DXガイド
予約システムの利用料、患者から取れる?今回の改正で変わったこと
医療業界ニュース読了目安 4分

予約システムの利用料、患者から取れる?今回の改正で変わったこと

予約システムやオンライン診療システムの利用料を患者から実費徴収できる例が、2026年6月1日から通知に追加されました。ただし診療報酬の点数が新設されたわけではなく、金額の上限も通知には定められていません。

2026年6月1日から、予約システムやオンライン診療システムの利用料を、患者から実費として徴収できる例が通知に追加されました。ただし無条件ではなく、掲示・ウェブサイトへの掲載・文書での同意・区分した領収証という手続きが求められ、金額も「社会的にみて妥当適切なもの」とするよう書かれています。根拠は「療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いについて」の一部改正(令和8年3月27日 保医発0327第7号)です。

例示に追加された項目と、同じ通知が徴収できないとする項目、および徴収する場合に必要な4つの手続きを並べた図

結局、患者からシステム利用料を取っていいのか

通知に加わったのは、実費徴収が認められるサービス等の具体例です。記載は「予約やオンライン診療の受診に係るシステム利用料 等」の一文だけで、診療報酬の点数が新設されたわけではありません。所定の手続きをせずに請求することもできません。

オンライン診療のシステム運用費は、以前から別途徴収できると通知に記載されていました。今回の追加は、予約に係るシステム利用料も例示に加えた点です。両者の関係は「補足:オンライン診療の既存ルールとの関係」で扱います。

うちも対象か

同じ改正で追加された予約キャンセル料は、対象が「選定療養の届出がある医療機関」に限定されました。一方こちらの条文に限定条件はありません。そのぶん自院にも関係します。

自院のケース今回の通知での扱い
予約システムの利用料を患者から徴収する実費徴収できるサービス等の例示に加わった。ただし下記の手続きが必要
オンライン診療の受診に係るシステム利用料を徴収する同上。ただし関連する記載が別の通知に以前からある(後述)
システムの費用は医院が負担し、患者からは徴収しない今回の改正で変わることはない
オンライン診療で選定療養の予約料を徴収する点数表の留意事項通知で、徴収できないとされている
在宅療養者の電話診療の費用を徴収する手技料等に包括されるものとして、徴収できないものに挙げられている

いくらまで取れるのか

金額の上限は通知に定められていません。通知が求めているのは、徴収する費用を「社会的にみて妥当適切なもの」とすること、そして曖昧な名目での徴収は認められないことです。

実務でいちばん迷うのは、ベンダーに支払っている月額費用を、そのまま患者負担に回してよいのかという点でしょう。通知は「予約やオンライン診療の受診に係るシステム利用料 等」としか書いておらず、範囲を示す記載はありません。5月29日付の疑義解釈で扱われているのも予約キャンセル料の1問だけで、システム利用料についての解釈は示されていません。自院の支払額をそのまま患者負担に振り替えてよいと読める根拠は、通知にも疑義解釈にもありません。

取るなら何をすればいいのか

通知は、実費を徴収する場合の手続きとして次の4点を求めています。

  • 院内の見やすい場所に掲示する受付窓口や待合室など見やすい場所に、サービスの内容と料金を患者にとって分かりやすく掲示します。
  • 掲示事項を原則としてウェブサイトに掲載する自ら管理するホームページ等を有しない場合は対象外とされています。これは今回の新設ではなく、経過措置が2025年5月31日に終了して既に義務になっているものです。
  • 文書に患者の署名を受けて同意を確認する内容と料金を明示した文書に署名を受ける形で確認します。徴収する費用は「社会的にみて妥当適切なもの」とするよう求められています。
  • 他の費用と区別した領収証を発行する内容のわかる領収証が必要です。「お世話料」「施設管理料」「雑費」といった曖昧な名目での徴収は認められません。
同意は患者ごとに毎回もらう必要があるのか

通知は、内容と料金を明示した文書に患者の署名を受けることで同意を確認するとしています。「費用徴収の必要が生じるごとに逐次行う必要はなく、入院に係る説明等の際に包括的に確認する方法で差し支えない」ともされていますが、包括的な同意の例として挙げられているのは入院時です。外来での包括同意について明記した記述は見当たりません。

補足:オンライン診療の既存ルールとの関係

点数表の留意事項通知(別添1 医科診療報酬点数表に関する事項)の初診料の項には、今回の改正とは別に次の2文があります。

  • 情報通信機器の運用に要する費用は別途徴収できる「情報通信機器を用いた診療を行う際の情報通信機器の運用に要する費用については、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として別途徴収できる。」
  • オンライン診療で予約料は徴収できない「情報通信機器を用いた診療を行う際は、予約に基づく診察による特別の料金の徴収はできない。」

この2文は令和6年度版にも一字一句同じ文言で存在します。ただし「情報通信機器の運用に要する費用」と今回追加された「システム利用料」が同じ範囲を指すのかは、通知からは読み取れません。両者の関係を説明した資料も見当たりません。

また2つめの記載から、オンライン診療では選定療養の予約料を徴収できないことが分かります。予約キャンセル料は選定療養の予約が前提なので、オンライン診療にはそもそも適用の余地がない、という整理になります。

電話再診やオンライン診療そのものの費用はどうなるのか

今回追加されたのは受診に係るシステム利用料であり、診療行為そのものの費用ではありません。同じ通知は、手技料等に包括されていて徴収できないものの例として「在宅療養者の電話診療」を挙げています。「インターネット等より取得した診療情報の提供」も徴収できないものに列挙されています。

補足:この項目が追加された背景

意見募集から通知に載るまでの経緯(院長の判断には直接関係しません)

関係学会・医療関係団体・国民を対象に厚生労働省が2025年に実施した意見募集(選定療養に追加すべき事例等)に寄せられた343件のうち、「療養の給付と直接関係ないサービス等」に関するものは4件で、システム利用料はその1件です。提案理由には「患者さんにとっても利益のあるシステムであることから、システム使用料の一部については負担を頂いてもよろしいのではないかと考えます」と書かれています。提案者は資料に記載されていません。提案は「WEB予約システム使用に伴うシステム使用料」でしたが、通知はオンライン診療も含む書き方になりました。

中央社会保険医療協議会は追加の考え方として、システムの利用により「医療機関の診療時間に関係なく診療の予約をすることができるほか、通院負担が軽減するなど、患者の利便性向上に繋がる」ことを挙げています。

まとめ

  • 例示に追加されたもので診療報酬の点数の新設ではない。キャンセル料と違い対象を絞る条件は条文にないが、掲示・ウェブサイト掲載・文書での同意・区分した領収証の4つが求められる
  • 金額の上限は通知にない。「社会的にみて妥当適切なもの」とすることが条件で、自院の支払額をそのまま患者負担に振り替えられると読める根拠は示されていない
  • オンライン診療については、点数表の留意事項通知に以前から関連する記載がある。今回はっきり読み取れる変化は、予約に係る利用料が例示に並んだこと

同じ改正で追加された予約キャンセル料の記事をみる →

予約システムの費用相場と選び方をみる →

本記事は編集プロセスの一部で生成AIの技術を活用し、その上で医療DXガイド編集スタッフが確認・加筆・修正したうえで掲載しています。